分銅のjcss校正の必要性とは

jcss校正と事業者登録制度について

jcssは、Japan Calibration Service System(計量法トレーサビリティ制度)の略です。平成5年11月に計量法が改正されましたが、その時から導入された制度であり、計量法標準供給制度と校正事業者認定制度の2つからなります。校正事業者を対象として計量法関係法規やISO/IEC 17025の要求事項に適合しているかどうかを判断する登録制度であり、審査は事業所からの申請に基づいて行われます。この審査を受けて登録が認められた事業者がjcss登録事業者であり、校正においては高い信頼性を持つ事業者と言えます。jcssは国際MRAにも加盟しており、今後jcss校正認証が世界中どこでも受入れられる状況となる期待も高いでしょう。こうした認定事業者による計測器や計量標準の校正を受けた場合、jcssロゴマーク付きの校正証明書が発行されます。日本の国家標準にトレーサブルであることが証明され、信頼性の保証になります。

jcss校正による分銅の校正の必要性とは

分銅や天びん、はかりにおいては、信頼性が確保された測定値が常に求められることは言うまでもありません。そのため定期的に標準器による校正が必要とされ、不確かさがすべて表記された国家標準とのトレーサビリティが必須とされます。重さの計量基準となるものは分銅です。ただし素手で触れたり衝撃を与えるなどして傷が付いたりした場合、一瞬で正確性を大きく欠くリスクも有しています。使用頻度が多ければ多いほど質量変化のリスクが高く、結露や腐食などによる変化を防ぐため保管条件も厳しくする必要があります。また、慎重に取り扱っていても温度による拡張不確かさは避けられません。校正時ははかりの設置場所の温度に順応させ、温度差のない状態にするために点検前に2~8時間放置し、同じ温度にしてから計測するのが基本です。また、種類や等級によってもこうした対応は異なり、特にF1級以上のjcss校正では24時間以上放置することも多いです。校正周期に決まりはありませんが、推奨される目安は1年に1回以上、これ以上周期を延ばしたい場合には毎年校正を行い少なくとも4~5回分のデータを蓄積してからの判断となります。

デリケートな計測ツールの校正は正確に

分銅は非常にデリケートな計測ツールであり、材質によっても耐久性が大きく異なります。一番耐久性が高いのはステンレス製で、質量の変化が少なく長く正確性を保つことができます。黄銅クロムメッキ製はコストが低めですが、メッキは腐食する可能性があるため信頼性の面では懸念が残るでしょう。もっとコストが低いものでは鋳鉄製、洋銀製などがありますが、精度に合わせて慎重に選ぶ必要があります。磁性を帯びる材質もあり、磁化すると校正時にはかりの重量表示が大きく変わることがあります。計量皿の上に非磁性のスペーサを置くことで数値の異常が軽減されるような場合には、保管場所が磁気の影響を受けないよう配慮することが重要です。日常点検では使用前に重量表示を確認し、下した後ゼロに戻るかも確認しましょう。取引や証明に使用する場合は、特定計量器を使用する義務があり、公的機関または計量士による2年に1度の公的検査を受けなければならない決まりです。そうでなくても定期的な校正は必須ですし、外部機関で校正を受けることは揺るぎない信頼につながるでしょう。